・もてなしの料理 心も満たす
瀬戸市中心部から南へ伸びる県道209号「幡野町」交差点を東に入ったところにある食事処「美乃すし」。
新鮮なネタのすしを、居酒屋のような多彩なメニューとともに安価で提供する。
平日の昼、夜でも満席が珍しくない、人気店だ。
1966年に市内で創業し、77年に現在の場所に移った。
創業者は澤村強平さん(69)。
澤村さんは、2人の兄とともに朝日町にあったうどん屋の老舗「朝竹」(現・志庵)で修業を積んだ。
3人の夢は、それぞれが店を持つこと。
夢がかない兄はそれぞれ市内で「澤村屋」(現在は閉店)、「みの勝」の看板を掲げてうどん屋を開業。
すし職人に憧れていた強平さんは、さらに名古屋のすし店で学び、瀬戸に戻って念願のすし店を開いた。
屋号は出身地の岐阜県美濃市にちなんでいる。
「損して得取れ」。
強平さんは、林業を生業として実直だった父がいつもそう話していた、と振り返る。
「『もてなしの気持ちで、だれにでも喜んでもらえる公平な商売をしろ』。そういう意味だったと思います」。
その思いを胸に、きっぷがよくて朗らかな笑顔で客に対する妻の和洋(かずよ)さんとともに誠実に仕事に向き合ってきたことで、地域で愛される繁盛店となった。
強平さんとともに店を守る2代目の強治さん(43)は、父の仕事ぶりから店を継ぐことを自ら申し出た。
高校を卒業して名古屋のすし店で修業を積み、店に入って20年になる。
若女将の愛美さんがてきぱと動き店を盛り立てている。
強治さんは、父の味を引き継ぐとともに新メニューの開発にも余念がない。
げその天ぷらを酢飯のかわりにレタスで巻いた「げそレタスサラダ巻」は、生春巻きのイメージ。
つまみとしてつくり常連客に出したところ、「軽くていくらでも食べられる」と太鼓判を押され、店に出して看板メニューになった。
すし店では異色の「ホルモン(牛)鉄板焼」も好評だ。「お客さんの好みや声に耳を傾けたりしているうちに、すし以外のメニューも増えていった」と強治さん。
「値段が心配…」と、すし店は敷居が高いイメージを持つ人も少なくない。
昼にはすし2個と揚げだし豆腐などのメーンに小鉢、サラダ、漬物と、おかわり自由のご飯、みそ汁のついた「日替わり弁当」(680円)をはじめ、1000円札1枚で十分満足できるメニューを揃えている。
夜のメニューも一品料理300円から。
料金はすべて税込で表示。
店外の駐車場にも表示しており、安心してのれんをくぐることができる。
20年以上乗った自家用車を手放した際、常連客から「使わないから」と、中古の軽自動車を譲り受けて、強平さんは意を強くした。
わざわざタイヤを新品に替え、ガソリンも満タン。
しかも税金まで支払い済み。
「お馴染みさんとはいえ、ここまでしてくれる人がいるとは。涙が溢れるほど嬉しかった」と強平さん。
「お客さんが求めるのは何か。空腹を満たすのではなく、心を満たすことではないか」。
すっきりとした表情で日々、すしと向き合う。
【あゆみ】
1966年12月、瀬戸市今村地区で創業。
77年3月に現在地に移転。93年に店舗を全面改装した。
【メモ】
瀬戸市幡野町278-4
電話0561-82-8270 県道209号「幡野町」交差点東へ30メートル
営業時間:午前11時半〜午後2時、午後5時〜10時
日曜は午前11時半〜午後9時(水曜休み)
番組に対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。
メール info@845.fm
FAX 0561-97-0845 |
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