79:喫茶店「サウサリート」 【末広町商店街】
・寛ぎの空間でお茶と音楽を末広町商店街の西の入り口を入ってすぐ左にある喫茶店「サウサリート」。1983(昭和58)年のオープンから31年。昭和から平成、移りゆく瀬戸を見届けてきたマスター磯部潤さん(63)と妻みどりさん(58)。時代が変わっても、マスターがサイフォンでコーヒーを丁寧に注ぐ姿は、今もずっと変わらない。 「アルテック」の真空管アンプ、「リン」のCDプレーヤー、古いモニタースピーカー。マスターこだわりのオーディオシステムからは、静かなクラシック音楽が流れている。壁には河本五郎さん(故人)、鈴木五郎さんら、瀬戸を代表する陶芸家の作品がさりげなく飾られている。落ち着いた雰囲気で心安らぐ空間になっている。 コーヒーは、水蒸気の圧力差を使って抽出するサイホン式。「手技で湯を注ぐドリップ式に比べて抽出ぶれが少ないため、誰がいれても〝いつもの味〟が出せるんです」と磯部さん。フレンチビター、マイルドブレンド、モカブレンド、アメリカンの4種類。一口サイズのチーズが付く。 「紅茶のメニューは多いんですよ」とみどりさん。チャイやロシアンティー、スパイスティーなどのほか、中国茶やゆず、桃など香りの緑茶(日本茶)などと興味深い取り揃えとなっている。 飲み物はすべて瀬戸焼のカップで提供する。「旅行先では、その土地らしさを求めたいでしょう。ここはやきもののまちの瀬戸ですから地元の器で楽しんでもらいたい。お客さんをがっかりさせたくありませんから」とマスター。もしも気に入ったカップがあれば、窯元も紹介してくれるそうだ。 店のある場所が磯部さんの生家。元々は祖母の代から続いた婦人服やカーテン生地などを売る店だった。婦人服に囲まれて育った磯部さんは、大学を出た後に婦人服メーカーに就職した。当時、店の隣には名古屋を拠点にする喫茶店「コンパル」があったという。 就職して数年が経過したころ、繊維産業の衰退が著しくなり、「先行きが不安」と脱サラを考え始めたタイミングで喫茶店が撤退したことで、店を開くことに。会社を辞めて名古屋の紅茶専門店「英国屋」とコーヒー専門店で修業し、32歳で店を開いた。店名は、新婚旅行で出掛けたサンフランシスコ北の美しい港町「サウサリート」の風景が忘れられずに冠したという。 創業当時から変わらぬ店内は、30年余を経た現在も壁板やテーブルなどぴかぴかに磨き抜かれている。磯部さんは、「変わることも大切ですが、何ひとつ変わらないからこそ、居心地の良さを感じてもらえると思っている。そんな店であり続けたい」と話している。 【あゆみ】 【メモ】 番組に対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。 |
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