58:「加藤印舗」 【新瀬戸商店街】
・手彫りに誇り 精進の日々瀬戸市水南町。大型スーパーから真っすぐ北へ走る通り沿いに、手彫りの印章・ゴム印専門店「加藤印舗」が店を構える。この道に入り半世紀以上、店主の加藤末夫さん(77)は、「はんこは、土地や財産を守るために使う大切なもの。本人の唯一無二の証しでなければいけない。それを表現するには手彫りが必要」ときっぱり。 1972(昭和47)年に創業した。市内外の印章店で計12年半、修業を積み、孫田町の貸店舗を経て現在地に店を開いた。陶磁器に押すゴム印と、銀行印や実印など、手書き、手彫りにこだわり続ける。 象牙や水牛、ゴムなどの印材への字入れ、粗彫り、仕上げと続く工程の中で、第一に必要とされるのが書道の技術。基本の篆(てん)書体の習得を始め、開運の書体とも言われる吉宗体ほか、ゴム印では創作を求められる場合もあり、「センスも必要で彫る技術よりも難しい」。彫刻は、印材に文字を映した後、刃先の幅が違う5種類の刀で完成させる。「イメージを超えるものが提供できるよう日々技術の向上を目指して努力している」と加藤さん。 はんこやを考えたのは、市内の陶磁器絵付け会社に勤めていたとき。加藤さんは生まれつき左足が不自由で障害者3級の手帳を持つ。束ねた茶わんを運ぶなど重労働を続けるのは厳しく、「座ってできるはんこ職人はどうかと、姉に勧められたのがきっかけ」と、職人に転じた経緯を説明する。 創業時は窯業界に活気があり、特にゴム印の注文は目が回るほどの忙しさだった。納期に間に合わせることを信条とし、それが信頼になり得意先を広げてきた。 ゴム印は7〜8年ほど前から減ってきた。また、機械で彫るなどした安価な印章が増え、技術がなくてもはんこはできる環境に変わってきた。「時代の流れで仕方ないことだけど、婚姻届のように印章1つで決まる人生もあり、製造に妥協はできない」と、職人の誇りを覗かせる。 根を詰める仕事のため、息抜きも必要と、休日には尺八の演奏を楽しむ。「始めて30年になる」と加藤さん。竹風会という団体に所属し、瀬戸市の文化の祭典や同会の発表会などでステージにも立つ。「はんこは日本の伝統文化。その良さを伝え、広めていくためにもまだまだ頑張りたい。息抜きをしながらね」。 【あゆみ】 【メモ】 番組に対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。 |
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