57:「やきとり 金ちゃん」 【新瀬戸商店街】
・炭火で串物 ずーっと90円世の中の景気とは関係なく、1本90円。そんな焼き鳥屋が瀬戸市東横山町にある。20年前に生まれ、やきもののまちで愛されてきた。創業時から続く赤字覚悟の値段を守ると、店主は心に誓っている。 名鉄瀬戸線新瀬戸駅の南の路地を西に数分のところにある「金ちゃん」。店主の金原(きんぱら)健一さん(71)と妻美代子さん(同)が立つ30席ほどの店内は、いつも酔客でにぎわっている。 静岡生まれの金原さんは、トヨタ系工作機械メーカーに電気工として入社。40歳半ばまで勤めた後、脱サラして最初は安城市で食品加工会社を興した。順調に業績を伸ばしたが、5年目に設備投資の必要に迫られ、経営を断念した。そのころ、名古屋市内に本店を持つ焼き鳥店が現在地に瀬戸店を出す話があり、雇われ店長として転身することに。1年後、本店の撤退とともに瀬戸店も閉めることになり、これを機に店の権利を買い取ることを決断。1994年に「金ちゃん」としてのれんを掲げて店の歴史がスタートした。 店の看板メニューは炭火にこだわった焼き鳥だ。「ももに皮、手羽先などガスで焼くと臭いが移る。ふっくら焼けないしうまくないよね」と金原さん。味付けはタレと塩があり、タレは創業時からの継ぎ足しで、「ようやく うまみが出てきた」という。牛スジとコンニャクを、味噌仕立てのタレで煮込んだ「どて煮」(380円)も年中味わえる自慢の一品。味噌ダレも焼き鳥のタレと同様の継ぎ足しで、「この味噌ダレにくぐらせた串カツもぜひ食べてみて」と美代子さん。 串物4、5本とほかに何かつまんで少し飲んで1100円〜1200円。一番高い一品料理でも、野菜がたっぷり入った水炊き風の湯豆腐で500円と格安。大半が200円台で楽しめる。金原さんは「楽しく飲んで、食べて、明日への英気を養ってほしいよね。儲けは二の次、だから値上げは一度もしていないし、これからもするつもりもない。お客さんに喜んでもらえるのが何よりうれしい」と力を込める。 「お客さんに恵まれているけど、うちは店を手伝うアルバイトにも恵まれている」と、美代子さん。代々、名古屋学院大学の学生が働き、「気持ちよく動いて店の雰囲気をよくしてくれている」と、目を細める。 閉店後の帰宅は夜遅くなるため、女子のバイトは下宿先まで必ず送る。「玄関を開けて中に入り、部屋に電気が付くのを見届ける」と金原さん。「親元を離れた子が大半で、大事な子どもさんを預かっている以上、家に送り届けるまでが雇い主の責任」と厳格だ。 学生時代に親代わりとなった金原さん夫婦のもとには、これまでに12人の元バイト生から結婚式の招待状が届いた。「社会人となって成長した姿を見られるのは幸せ」と2人はしみじみ語る。 金原さんは、「予約も貸し切りも受けない。誰がいつきても入って楽しめる店づくりをこれからも目指していきたい」と話している。 【あゆみ】 【メモ】 番組に対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。 |
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