双葉屋・NISSIN

37:「双葉屋」 【末広町商店街】

・祝い袋、和紙折り紙が人気

文具と事務用品販売の「双葉屋」は、1932年に創業した。学校用文具のほか、近年は和紙折り紙や写経セット、祝い袋など年配者向けの商品を幅広く取りそろえている。

2代目店主の加藤智浩さん(64)によると、瀬戸市の人口が増え、子どもが多かった70年代後半から80年代にかけては学校用文具を多く取りそろえていたという。どの小中学校の近くにも必ずといっていいほど文具店があった時代だ。

妻の栄子さん(61)は、70年代に商店街で“20年前の価格に挑戦”という売り出しがあり、「開店前からざわめく人の声に飛び起き慌てて店を開けたことも」と、当時のにぎわいを懐かしそうに振り返る。

80年代には郊外に大規模ショッピングセンターが次々とオープン。バブル崩壊後の90年代に入ると、100円ショップが急速に増えた。少子高齢化の時代にも入り、「物を置いておけば売れる」という商売は成り立たなくなっていった。

平成に入ると商店街のにぎわいも益々影を落とし始めた。そこで、活性化のため商店街振興組合婦人部の会合などにも顔を出すようになり痛感した。「一過性の催事を仕掛けても安売り店や大型店には勝てない」。同じ“土俵”で勝負するのではなく「向こうにないもの」を売りにしようという試みが始まった。

思いついたのは、各店が専門店である強みを生かし、自慢の商品やサービスを改めて洗い出して客層の年配女性に向けて情報発信する「おばちゃん逸品フェア」。店頭に掲げるポップやマップも作り、「顔の見える店」を目指した。客も、売り手もおばちゃんだからこそのアイデアだった。「みんなの意識が高まるきっかけになり、少しずつ手応えを感じている」と栄子さん。

双葉屋では、瀬戸で一番の品揃えを誇る「祝い袋」を前面に出した。高齢化が進んだことから、「おじいちゃん、おばあちゃんが孫やひ孫の誕生祝い、入学祝いなどに結構求められるんですよ」と智浩さん。
「和紙の折り紙」も逸品のひとつ。着物柄の友禅・雲竜・金銀和紙など種類も多く、ひな人形を折ったり、牛乳パックなどに張って小物入れにしたり、「指を使い頭の体操にもなる」と、人気商品になっている。栄子さん自身も折り紙を習い、作品を並べたミニギャラリーも作った。「まちのイベントなどに合わせて講座も開き、愛好者を増やしたい」と意欲的だ。

智浩さんは、「ここでしか手に入らないものがある。そんな店の集まりが商店街なんですよ」と話し、「お客さんの話をよく聞いて、要望にも応えていきたい」と、地道に商売をする姿勢を強調する。

【あゆみ】
洗剤など生活雑貨を扱う店として、1932(昭和7)年に現在地で創業。智浩さんは大学卒業後、72年に店に入った。75年に文具専門店として再出発した。

【メモ】
瀬戸市末広町3の8
名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅から東へ徒歩10分
アーケード東口
TEL:0561-82-4069
営業時間:午前9時半〜午後7時(火曜休み)

にこやかに客を迎えてくれる2代目店主の加藤智浩さん、栄子さん 【写真をクリックで拡大】

にこやかに客を迎えてくれる2代目店主の加藤智浩さん、栄子さん 【写真をクリックで拡大】

さまざまな種類の祝い袋 【写真をクリックで拡大】

さまざまな種類の祝い袋 【写真をクリックで拡大】

アーケード東口にある双葉屋 【写真をクリックで拡大】

アーケード東口にある双葉屋 【写真をクリックで拡大】

38:喫茶店「NISSIN」 【末広町商店街】

・安気にコーヒータイム

コーヒーとパンメニューが豊富なまちの喫茶店「NISSIN(ニッシン)」。店内はいつも地元の人たちでにぎわっている。「安気におしゃべりを」と、3代目オーナーの藤井真由美さん(55)と、母の多美子さん(78)が笑顔で迎えてくれる。

創業は1945年。真由美さんの祖母が、甘酒やところてんなどを提供する「日進茶房」として開いたのが始まり。52年ごろには鶏肉と、とり天を売る「日進鶏肉店」と業態を変え、79年まで営業した。

現在の喫茶店にリニューアルしたのは80年。真由美さんが短大を卒業後、会社勤めを経て21歳の時だった。多美子さんから「あなたのやりたい店を始めたら」と勧められ、「かしわ屋よりも喫茶店を」と、当時はまだ斬新なカウンターを備えた店に全面改装してオープンさせた。東京の原宿で「クレープ屋」が並び始めたころで、店先でクレープの対面販売も行う喫茶店だった。

現在はクレープは止め、コーヒーとパンメニューが中心になっている。お勧めは「あつあつくりーむパン」(400円)。食パンにカスタードクリームをたっぷり乗せたオープントーストで、焼き上がりにチョコソースをかける。「あったかいプリンのよう」と常連客から支持されている。「子どものおやつに家で作っていたもの」と真由美さん。

同じシリーズのチーズ(500円)やグラタントースト(550円)もある。400円以上のパンメニューを注文した人は、無料でコーヒーのおかわりができるという。

「ニッシンサンド」(450円)は、なめたけを入れた卵焼きを野菜とともに挟んだサンドウイッチ。客の要望でメニューに加わったご飯物は、合挽肉のそぼろを乗せた照り焼きハンバーグ味のロコモコ、カレーなど。これらも藤井家の味だ。

昨夏、10年振りに復活させた「ミルクセーキ」(500円)も評判になった。卵黄と牛乳、バニラアイスなどで作り、ほんのりと甘く、飲み終わっても控えめで懐かしい昭和が香り立つような後味だ。今夏にも登場するという。

客は50代以上が中心。かしわ屋時代からの馴染み客も多い。地域の人々にとっては商店街界隈が、生まれ育った共通の思い出の場所。「みんなの思い出の場所にあるお店として、何気のない会話がいつまでもできる場を提供し続けることができれば」と、真由美さんはしみじみと語る。

【あゆみ】
1945(昭和20)年、甘味処として真由美さんの祖母、加藤たせさんが創業。祖母が現在の日進市の出身で、店名に取り入れた。52年ごろ(多美子さん)にかしわ屋となり、祖母、母、姉の3世代で切り盛りした後、80年(昭和55)年に喫茶店となり再出発した。

【メモ】
瀬戸市末広町3の7
名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅から東へ徒歩10分
アーケード東口
TEL:0561-82-4426
営業時間:午前8時半〜午後5時半(火曜休み)

3代目オーナーの藤井真由美さんと、母の多美子さん 【写真をクリックで拡大】

3代目オーナーの藤井真由美さんと、母の多美子さん 【写真をクリックで拡大】

あつあつくりーむパン 【写真をクリックで拡大】

あつあつくりーむパン 【写真をクリックで拡大】

アーケード東口にある「NISSIN」 【写真をクリックで拡大】

アーケード東口にある「NISSIN」 【写真をクリックで拡大】

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