63:「美術工芸陶磁器卸・小売 加藤兆之助商店」 【瀬戸新開地商店街】
・瀬戸焼に誇り 普及に力瀬戸街道「新開地」交差点を南へすぐの角地にある瀬戸焼の陶磁器卸・小売の「加藤兆之助商店」。業務用食器から陶芸家の作品、結婚式の引き出物や贈答品、会社関係の記念品、オリジナルの器製作まで幅広く取り扱う。店舗2階には見本室兼ギャラリーがあり、3代目店主の加藤修司さん(48)が厳選して仕入れたやきものの数々が並んでいる。 戦前・戦中に陶磁器貿易商社の番頭をしていた祖父・兆之助さんが戦後の1949年ごろ、市内の借家で創業した。商売柄陶磁器を見る目は確かだったといい、戦後世の中に古いものが多く出てきていたこともあり、当初は骨董品を主に扱う店だった。 すぐに、現在地の場所に移り、卸・小売業を始めた。父・昭三さんが2代目を引き継いだ。修司さんは東京の大学で学芸員の資格を取得し、瀬戸窯業高校専攻科陶芸コースを経て入店、昭三さんの下で社業を仕込まれた。1999年に昭三さんが旅行先で急逝し、3代目を継いだ。 修司さんの代になり、客の要望に合わせたオリジナル商品の開発にも取り組むようになった。例えば、結婚式の引き出物では、2人が出会った思い出の場所の風景などを図柄に取り入れたり、会社関係では記念品にロゴマークを入れたり。「新しい提案型の商売も必要」と話す。 好まれる商品の傾向は、15、16年前に比べて様変わりしてきた。かつては5客セットで同じ形や柄が選ばれるのが一般的だった。ところが、近年では家庭用の器でもばらばらの形、柄が好まれるようになってきた。「個性や個の強い時代なんでしょうか」と話し、オリジナル商品への対応も、こうした客の意識変化が背景にあるようだ。 修司さんは、「確実な検品」をモットーにする。「1000個の注文のうち、不良品がたった1つでも、使う側にとっては唯一無二の1つ。許されません」と、やきものを扱うプロとしての意識は高い。 また、「問屋は商品の良し悪しを見極めるフィルターの役割も担う」との考えも示す。現在は、メーカーや作家らから直接購入できる機会も増えている。「販売のチャネルが広がることはいいことだ」としながらも、明らかに不良品や失敗品を買わされている人もあり、注意を促す。 実際に器を選ぶ際には、「手に取って感触なども確かめてほしい」と修司さん。「特に日本食は、器を手に持っていただく文化。いくらデザインが気に入っても持ちにくかったり、洗いにくかったりすると、結局は使わなくなる。大事なポイントの1つです」とアドバイスする。 2006年6月から、メールマガジン「瀬戸だより〜せとものについて話しませんか〜」を毎週土曜日に発行している。14年2月15日号で400号になる。商売を通じて知り合った瀬戸焼好きの人たちの多くが、意外にもやきものの知識がなかったことがきっかけ。「少し詳しく知るだけで、より楽しめるのでは」と考え始めた。 題材は、自身が見聞きしたり、体験したりしたことが中心。陶器を梱包する箱ひもの結び方、釉薬についてなど、豆知識的なことから始まった内容は、今では瀬戸の食、風習、催事などにも広がる。「更新は大変だが、少しでも瀬戸焼と瀬戸のPRに役立てば。見てくれる人がいる限り出し続けたい」と話している。 【あゆみ】 【メモ】 番組に対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。 |
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