61:「喜楽 梅むら」 【瀬戸新開地商店街】
・路地裏に名店 見えぬ手間惜しまずかつて花街だったといわれる新開地の一角・陶原町に店舗を構える「喜楽 梅むら」。店の歴史を詳細に記した資料は残っていないが、創業は大正の初めごろと伝えられている。厳選した食材を生かした会席料理の名店として知られる。4代目店主で板長の梅村尚史さん(38)は、「瀬戸にもいい店があるといってもらえるよう、日々精進していきたい」と意欲的だ。 創業者は曽祖父。代々、経営者として采配を振り、曽祖母、祖母、母が女将として現場を切り盛りしてきた。尚史さんの代になり、初めて店主自ら板長となった。その証としてこれまで「喜楽」とだけあった屋号に「梅むら」の名を加えるとともに、できる限りコミュニケーションを図りたいと、新たにカウンター席も設けた。 敷居は決して高くはない。ランチには、車エビの天ぷらやマグロの山かけ、名物の芋まんじゅうなどが付く喜楽セットほか、すき焼き丼、海鮮丼、炭火焼きのステーキ重などがあり、1575円〜2100円とリーズナブル。夜はミニ会席(3500円)と、本格会席が5000円から1000円刻みである。冬場はアンコウやクエなどの鍋コースも。「昼はお腹いっぱい食べてもらい、夜は会席を満喫してもらうことがコンセプト」と尚史さん。 「料理は奇をてらわずに、見えないところでの手間を決して惜しみません」。尚史さんはこう言ってはばからない。例えば「カニの飯蒸し」。もち米にカニの身を混ぜた蒸しもので、もち米を浸しておくだしにはカニの殻も取り込むなど、余すところなくカニの味を引き出す工夫を凝らす。こうした裏の仕事があってこそ、「素材そのもの違いを感じていただける」とこだわる。 自慢の1つは、意外にも米。2代目女将の祖母ふきえさん(故人)の実家(旧藤岡町)で収穫した米をずっと出している。「山奥で水がいいため、うまさが全然違う」と誇らしげに語る。 ふきえさんと、3代目女将の母親規子さん(65)が考案したのが「芋まんじゅう」で、いつしか名物と呼ばれる自慢の一品となった。マッシュにしたジャガイモを皮に、野菜などを餡にして包んだ蒸し物で、バターが効いたソースが和の中に洋のテイストを漂わせる。 18歳で料理の道に進んだ。20歳から大阪と東京の料亭で計8年間、修業を積むうち、「料理とともに日本の文化を伝えていきたい」と思うようになった尚史さん。その志通り、若いころから瀬戸を中心にしたやきものを買い集め、料理もこうした器に盛りつける。中庭に加え、現在改装中の玄関まわりにも、四季を伝える小庭を造っている。 時には小庭に面したカウンター席に立って調理の工程を披露し、日本料理の奥深さを垣間見せる。「文化に触れ、非日常を味わってもらうのが私たちの役目だと自戒を込めています」と、尚史さんは謙虚に話した。 【あゆみ】 【メモ】 番組に対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。 |
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