きめ細やかな地域情報の発信と、
防災・災害情報の充実をめざして
コミュニティFM
地域をつくる・守る
地域の情報を地域の人に向けて発信するラジオ局、コミュニティFM(CFM)。受信エリアが市町村単位に限定されるという特徴を持つCFMは、日頃は地元の行政や暮らしに役立つ生活情報などを中心に放送して地域振興の役割を担い、地震や台風など災害時には地域に特化したきめ細やかな災害情報を流して信頼を築いています。
■ラジオサンキューで
つながる地域
瀬戸市に本社を置き、尾張旭、長久手の3市で受信できるCFMが、尾張東部放送が運営する「ラジオサンキュー(愛称)」です。周波数は84・5メガヘルツ、出力20ワット。2006年3月15日、東海地区で7番目のCFMとして開局し、地元情報の発信基地として住民に親しまれています。
■パソコン、スマホで聴ける
サイマル放送
CFMの全国組織「日本コミュニティ放送協会」(JCBA・11地区協議会)では12年5月から、ラジオ放送をインターネットで聴ける「JCBAサイマルラジオ」サイトの運用を開始しました。「サイマル放送」と呼ばれるもので、CFM各局が地域で放送している番組をウェブサイトに配信し、パソコンでアクセスすることで国内はもとよりさらには海外でもリアルタイムに聴くことができます。スマートフォンでも無料のアプリ「TuneIn Radio(チューンイン ラジオ)」をインストールすることで聴取可能にしています。
サイマル放送の開始は、加盟局の難聴地域の解消と、地域の防災、災害情報の伝達機関としての機能を高めるのが主な目的です。11年3月11日に発生した東日本大震災の際には、被災地域のCFMから発信された災害関連情報は、地域住民はもとより、サイマル放送がやむなく遠方へ避難した人々、さらには地域出身者の地元情報の収集手段として力を発揮して、大きな信頼を得る結果となりました。
■災害時に備え
防災ラジオ
ラジオサンキューは、放送エリアの地元3市と防災協定を締結。災害時には優先的に災害情報を放送する態勢を整えています。瀬戸市では、各公共施設や自治会長、自主防災リーダーらに国や同市からの緊急告知情報を受信する「防災ラジオ」(ラジオサンキューと連携)を貸与。この防災ラジオは、同市に設置された「全国瞬時警報システム(Jアラート)」受信機を経由して、災害時や有事関連の緊急情報を自動的に放送する仕様となっています。緊急信号を受信したラジオは、待機状態であっても自動的にスイッチが入り、緊急情報が最大音量で放送されます。また、他局の放送を聞いていても、割り込み機能でラジオサンキューの周波数に切り替わり情報が流れる仕組みになっています。
Jアラートは地方自治体の防災行政無線などを通して、住民に緊急情報を伝達するシステム。防災無線が整備されていない瀬戸市では、それに代わる情報伝達手段としてラジオサンキューの電波を利用することになっています。
※JCBAによると、CFMは2015年12月現在、全国に286局が開局。各地区で活躍しています。
年表
CFMの歴史
●1992年1月
コミュニティ放送制度施行
●1992年12月
第1号局「FMいるか」(北海道函館市)が開局
●1993年7月
第2号局「FMハナコ」(大阪府守口市)が開局
●1993年11月
第3号局「エフエム豊橋」(豊橋市)が開局
●1994年5月
9局が集まり全国コミュニティ放送協議会(JCBAの前身)設立
●1995年1月
阪神・淡路大震災が発生。CFMの地域情報が評価・注目される
●1995年2月
初の臨時災害放送局開局
●1995年3月
CFMの出力上限が1Wから10Wに規制緩和
●1998年5月
全国でCFM100局目が開局
●1999年3月
出力上限が10Wから20Wに変更
2000年
●2002年4月
日本コミュニティ放送協会(JCBA)発足
●2004年10月
中越地震が発生。「FMながおか」(新潟県長岡市)が臨時災害放送局を運営
●2006年3月
「ラジオサンキュー」が開局
●2008年6月
コミュニティ・サイマルラジオ・アライア
ライアンス(CSRA)がサイマル放送開
始
●2011年3月
東日本大震災が発生
●2012年5月
JCBAインターネットサイマル放送開始